フトアゴヒゲトカゲの生態や飼育方法について

フトアゴヒゲトカゲは、愛らしい見た目と穏やかな性格から、近年人気のあるペット爬虫類となっています。

首をかしげたり腕を回したり、可愛い仕草を見せてくれます。

初心者でも比較的飼育しやすい種類です。

フトアゴヒゲトカゲ とは?

生息地はどこ?

フトアゴヒゲトカゲは、オーストラリア中央部から南東部の乾燥地帯に生息しています。

生息する地域は、以下のような特徴があります。

  • 乾燥した気候

年間降水量が200~500mm程度と、非常に乾燥した地域です。

  • 高温

夏は気温が40℃を超えることも珍しくありません。

  • 昼夜の寒暖差

昼間と夜間の気温差が大きいのも特徴です。

  • 様々な環境

森林、低木地、砂漠など、様々な環境に生息しています。

どんな体格や特徴があるのか

フトアゴヒゲトカゲ は厳しい環境に適応するための体格や特徴を持っています。

  • 体長:40~55cm(成体)

地面に伏せて体温を上げやすくするために、体が扁平になっています。

  • 体重:380~510g(成体)
  • 体色:天敵から身を守るために、砂漠色の体色をしています。
  • 尻尾:長さは体長の半分で、太く脂肪を蓄積し、水不足に備えています。
  • :岩や木登りに適した、鋭い爪を持っています。
  • 食性:様々な環境で餌を摂取するため、雑食性になっています。

フトアゴヒゲトカゲ の飼育環境

必要なケージのサイズ

フトアゴヒゲトカゲを飼育する際には、適切なケージを選ぶことが重要です。ケージは、快適に過ごせる十分な広さがあり、温度や湿度を管理できる必要があります。

  • サイズ

フトアゴヒゲトカゲは成体になると体長50cmほどになるため、ケージは最低でも幅90cm×奥行45cm×高さ45cm以上のものが必要です。

幼体の場合は、小さなケージで飼育し、成長に合わせてケージを大きくしていきます。

  • 素材

ケージの素材は、ガラス、プラスチック、木製などがあります。

ガラス製は掃除がしやすいですが、重くて壊れやすいというデメリットがあります。

プラスチック製は軽くて丈夫ですが、傷つきやすいというデメリットがあります。

木製は自然な見た目ですが、カビやダニが発生しやすいというデメリットがあります。

床材の選び方

フトアゴヒゲトカゲの床材は、飼育環境を快適に保ち、健康状態にも影響を与える重要な要素です。主な種類とそれぞれのメリット・デメリットを理解し、適切な床材を選びましょう。

代表的な床材

  • 砂系床材
    • メリット
      • 排泄物の処理がしやすい
      • 掘ったり潜ったりする自然な行動を促せる
      • 比較的安価なものが多い
    • デメリット
      • 目に砂が入ると結膜炎などの原因になる
      • 誤飲すると消化管閉塞を引き起こす可能性がある
      • 砂埃が舞いやすいため、呼吸器系のトラブルにつながる場合がある
  • 紙系床材
    • メリット
      • 吸水性、保水性に優れている
      • 排泄物の臭いを抑える効果がある
      • 軽いので持ち運びやすい
    • デメリット
      • 湿度が高くなりやすい
      • カビが発生しやすい
      • 比較的高価なものが多い
  • マット系床材
    • メリット
      • 保湿性に優れている
      • 踏み心地が良く、フトアゴヒゲトカゲの負担が少ない
      • 比較的安価なものが多い
    • デメリット
      • 排泄物の処理がやや面倒
      • 乾燥しにくい
      • カビが発生しやすい

床材選びのポイント

  • フトアゴヒゲトカゲの年齢と体格
    • 幼体の場合、誤飲しやすい砂系床材は避け、紙系床材やマット系床材がおすすめです。
    • 成体の場合、砂系床材も選択肢になりますが、目の細かいものを選び、誤飲に注意しましょう。
    • 体格が大きい個体の場合、厚めに床材を敷いてあげましょう。

ライトの種類について

フトアゴヒゲトカゲを飼育するには、以下の2種類のライトが必要です。

  • バスキングライト
  • 紫外線ライト

爬虫類初心者には分かりにくいライトの種類ですが、1つずつ解説していきます。

バスキングライトとは

野生下では日光浴をして体温を調整しています。飼育下でも、バスキングライトと呼ばれる専用の照明器具を設置することで、日光浴に近い環境を再現し、フトアゴヒゲトカゲの健康維持に役立てることができます。

バスキングライトの役割

  • 体温調節

フトアゴヒゲトカゲは変温動物であり、外気温に合わせて体温を調整する必要があります。

バスキングライトから照射される熱は、フトアゴヒゲトカゲが体温を上げるのに役立ちます。

適切なバスキングスポットを設置することで、フトアゴヒゲトカゲが体温を30~38℃に保つことができます。

  • 消化促進

バスキングライトの熱は、フトアゴヒゲトカゲの消化器官を活性化させ、消化を促進する効果があります。

  • 繁殖行動の促進

バスキングライトは、フトアゴヒゲトカゲの繁殖行動を促進する効果もあります。

オスは、バスキングスポットでメスに求愛行動を行うことがあります。

紫外線ライトとは

フトアゴヒゲトカゲにとって、紫外線ライトは健康維持に欠かせないものです。

自然界では日光浴を通して紫外線(UVB)を摂取し、ビタミンD3を合成しています。

ビタミンD3はカルシウムの吸収を促進し、骨格形成や健康な成長に不可欠です。

飼育下でも紫外線ライトを設置することで、フトアゴヒゲトカゲがビタミンD3を合成できるように環境を整える必要があります。

適切な紫外線ライトを選ばないと、以下のような深刻な問題を引き起こす可能性があります。

くる病:カルシウム不足による骨格の変形

食欲不振:ビタミンD3不足による代謝異常

繁殖障害:カルシウム不足による卵の産卵や孵化への影響

免疫力低下:ビタミンD3不足による病気への抵抗力低下

爬虫類とカルシウムについてもぜひ見て下さい。

水入れは必要か

フトアゴヒゲトカゲは乾燥地帯出身のため、水入れは必須ではありません。

水分補給は主に野菜から行い、水入れから直接飲む姿はあまり見られません。

しかし、「もしものどが渇いたら」ということを考えると、やはり用意しておいた方が良いでしょう。

水入れ以外にもできる水分摂取方法

  • 野菜:野菜を水に浸してから与えることで、水分補給を促すことができます。
  • 霧吹き:定期的に霧吹きで飼育環境を保湿することで、皮膚や粘膜から水分を吸収することができます。
  • スポイト:スポイトを使って、直接口元に水を飲ませることもできます。

フトアゴヒゲトカゲの飼育方法

飼育環境の準備ができたら、飼育方法について解説します。

フトアゴヒゲトカゲの飼育温度

ケージ内全体

  • 温度:25〜30℃
  • 目的:活動しやすい温度

バスキングスポット(ホットスポット)

  • 温度:42〜45℃
  • 目的:体温を上げる場所

クールスポット

  • 温度:22〜25℃
  • 目的:体温を下げたいときに行く場所

夜間

  • 温度:20〜25℃

ケージ内で温度勾配を作ろう!

これは、フトアゴヒゲトカゲが自分の好きな温度の場所を選べるようにするためです。

フトアゴヒゲトカゲの飼育湿度

砂漠などの乾燥地帯で生息しているならば、湿度は必要ないかと思われますが、夜間などは岩陰で休んだりしているため、ある程度湿度は必要と考えられます。

  • 日中:30~40%
  • 夜間:40~60%

餌の種類

フトアゴヒゲトカゲは雑食性なので、昆虫と野菜の2種類をバランスよく与える必要があります。

昆虫

  • コオロギ
  • デュビア
  • レッドローチ
  • ミルワーム(ジャイアントミルワーム)
  • シルクワーム
  • ハニーワーム

昆虫単体のカルシウム含有量は少なく、不足しがちです。そのため、カルシウム剤の添加が必須となります。

具体的な方法

  • ガットローディング
    • 昆虫にカルシウムパウダーやカルシウム含有フードを与えます。
    • 与える量は昆虫の大きさの20~30%程度が目安です。
    • 与えた後は、昆虫がカルシウムを吸収するまで数時間放置します。
  • 直接ふりかけ
    • カルシウムパウダーやカルシウム含有フードを餌や野菜に直接ふりかけます。
    • 与える量は、フトアゴヒゲトカゲの体重の1%程度が目安です。
    • カルシウム剤が均等に混ざるように、よく混ぜます。

野菜

  • 小松菜
  • オクラ
  • キャベツ
  • 人参
  • カボチャ
  • とうもろこし

果物

  • りんご
  • バナナ
  • イチゴ
  • パイナップル
  • スイカ
  • キウイ
  • マンゴー

果物は主食ではなく、あくまでも間食として与えるようにしましょう。

頻度としては、週に1回程度が目安です。果物を与えるときは、種や皮を取り除いてから小さくカットして与えましょう。

また、果物は糖分が多いので、与えすぎると肥満や糖尿病などの原因となる可能性があります。体重や体格をよく観察しながら、適切な量を与えるようにしましょう。

人工フード

フトアゴヒゲトカゲは雑食性なので、昆虫と野菜をバランス良く与える必要があります。しかし、毎回新鮮な昆虫と野菜を用意するのは難しいですよね。

そんな時に便利なのが、人工フードです。フトアゴヒゲトカゲに必要な栄養素がバランス良く含まれているので、昆虫や野菜を単独で与えるよりも簡単に栄養管理することができます。

ペレットタイプ

水でふやかして与えるタイプです。食べ残しが少なく、与えやすいのが特徴です。

ゲルタイプ

水分が多いので、給水も兼ねることができます。食欲のないフトアゴヒゲトカゲにも与えやすいのが特徴です。

給餌頻度

ベビー(生後6ヶ月未満)

  • 動物性飼料:毎日
  • 植物性飼料:週に2~3回

ヤング(生後6ヶ月~1年)

  • 動物性飼料:1日おき
  • 植物性飼料:週に3~4回

アダルト(生後1年以上)

  • 動物性飼料:週に1~2回
  • 植物性飼料:毎日

具体的な給餌量

  • 動物性飼料:フトアゴヒゲトカゲの頭と同じ大きさ程度
  • 植物性飼料:フトアゴヒゲトカゲの体の半分程度
成長期昆虫野菜果物
ベビー
(6ヶ月未満)
70%20%10%
ヤング
(6ヶ月〜1年)
50%30%20%
アダルト
(1年以上)
20%60%20%

注意点

与えすぎは肥満の原因となるので注意が必要です。

餌は新鮮なものを使用し、食べ残しはこまめに取り除きましょう。

脱皮前は食欲が落ちるため、無理に餌を与える必要はない。

フトアゴヒゲトカゲのまとめ

フトアゴヒゲトカゲは近年人気急上昇中の爬虫類で、飼育難易度は比較的易しい方です。

適切な飼育環境と餌を与えれば、10年以上飼育することができます。飼育を始める前にしっかりと準備をして、フトアゴヒゲトカゲとの暮らしを楽しみましょう。

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